KIYAC

Shopifyストアに「返金ポリシー」「配送ポリシー」は必要?

EC
弁護士 千葉直愛

こんにちは。みなさんのShopifyストア構築は順調でしょうか?

「Shopify 法務関連文書の作り方」の記事でご説明したとおり、一見手軽にネットショップを開設できるShopifyストアでも、実は法律文書の作成がちょっとした「鬼門」になっています。

この記事では、Shopifyストアの「法務関連」ページに出現する、「配送ポリシー」について解説していきます。

この記事の内容は、Shopifyストア以外のネットストアやECサイトを構築中の方にも役立つ内容です。

「返金ポリシー」?「配送ポリシー」?


Shopifyストアの「設定」から「法務関連」ページを開くと、「返金ポリシー」「プライバシーポリシー」「利用規約」「配送ポリシー」「特定商取引法に基づく表示」の入力欄が、美しくまっさらな状態で(笑)並んでいます(特定商取引法に基づく表示以外はテンプレートが準備されていないことについては、「Shopify 法務関連文書の作り方」の記事を参照。)。



このうち、日本でネットショッピングに慣れ親しんでいる人にとっては、「プライバシーポリシー」「利用規約」「特定商取引法に基づく表示」はよく見かけると思いますが、「返金ポリシー」「配送ポリシー」というのは、あまりみかけませんよね。

たしかに、Amazon.comなど、海外大手のECサイトのフッターをよく見ると、ちゃんと返金や配送に関する文書が整備されていたりするのですが、今からShopifyで小さなネットショップを開設しようとしている事業者まで、返金ポリシーや配送ポリシーといった、見慣れない文書をきちんと整備しなければならないのでしょうか?

答えは「NO」です。

ただしちょっと事情が複雑なので解説していきます。

日本には「特定商取引法に基づく表示」がある


日本で、有償の商品やサービスを販売するネットショップやECサイトを開設すると、「特定商取引法」という法律の規制下におかれます。

特定商取引法は、事業者による違法・悪質な勧誘行為等を防止し、消費者の利益を守ることを目的とする法律です。 ネットショップやECサイトのようなインターネット上での商品・サービスの売買サービスは、特定商取引法上、「通信販売」と定義されています(特定商取引法について、詳しく学びたい人は、消費者庁が設置している「特定商取引法ガイド」をご覧ください。かなり詳細な解説があります。)。

そして、「通信販売」を行う場合は、特定商取引法に定められた一定の事項を、わかりやすいところに必ず表示しなければならないことになっています(法第11条)。これが、「特定商取引法に基づく表示」と呼ばれている文書です(以下、長いので「特商法表示」といいます。)。ネットショップやECサイトでは、ウェブサイトのフッターなどに遷移リンクを張り、サイトの下層ページで表示させることが一般的かと思います。

さて、なぜ特商法表示の話をしているかというと、実は、特商法表示の中に書かなければ行けない事柄の中に、「返金」と「配送」にまつわる項目があるからなのです。

具体的には、以下の12項目を記載する必要がありますが、そのうち④⑧が返金(返品)に、①③が配送に関する項目になります。

①商品やサービスの価格、送料(法11条1号)
②対価の支払時期と支払方法(法11条2号)
③商品の引き渡し時期又はサービスの提供時期(法11条3号)
④返品ルール(法11条4号)
⑤事業者の氏名又は名称、住所、電話番号(施行規則8条1号)
⑥事業者が法人である場合は代表者名又は事業責任者名(施行規則8条2号)
⑦申込の有効期限(施行規則8条3号)
⑧対価や送料以外に購入者が負担する費用の有無内容(施行規則8条4号)
⑨契約不適合責任に関する特約の有無内容(施行規則8条5号)
⑩ソフトウェアの動作環境(施行規則8条6号)
⑪特別な販売条件の有無内容(施行規則8条7号)
⑫電子メールアドレス(8条9号)

Shopifyの法務関連にある「返金ポリシー」「配送ポリシー」とは、読んで字の如く、返金や配送について事業者が特別なルールを定める場合にこれを記載するものですが、
特商法表示の中で、返金や配送についてしっかり記載しておけば、あえて特商法表示と別途、返金ポリシーや配送ポリシーを定める必要はない、ということになるわけです。

実際、日本ではあまり一般的ではないからか、Shopify公式サイトに掲載されている日本のショップ事例を見ても、その多くが「返金ポリシー」「配送ポリシー」のページを独自に設けておらず、返金や配送に関する事柄は特商法表示の中に記載されていました。

他方で、Amazon.comのような超巨大サイトでは、返金や配送に関するルールだけでも膨大なものになるため、これらを切り出して別途ポリシーを制定・公表することも合理的かもしれません。

いずれにせよ、いまから初めてのネットショップをShopifyストアで開設し、かつ、返金や配送についても一般的なネットショップと異なる特別なルールを設けるつもりもない、ということであれば、特商法表示のほかに「返金ポリシー」「配送ポリシー」まで完備するのは、少々オーバースペックになることが多いと思います。

もちろん、ご自身の判断で、他社事例などを見比べながら、返金ポリシーや配送ポリシーを作成し、特商法表示と並列することも法的にはなんら問題ありませんし、お客様に対するサービスという観点からは素晴らしいことだとは思います。

なお、Shopifyの法務関連ページで、特商法表示に限っては、Shopifyが準備したテンプレートが使えますが、これが使いにくいという人は、「Shopify法務関連文書の作り方」の記事でも紹介した、法律文書自動生成ツール KIYAC(キヤク)でも特商法表示を生成できますので、是非ご利用ください。

それでは、この記事はこのあたりで。

みなさんの素晴らしいShopifyストアが完成しますように!

(2022.2.3 追記)
KIYAC を使って、返金ポリシーと配送ポリシーを自動生成することができるようになり、さらに便利になりました。

ABOUT ME

弁護士 千葉直愛
千葉直愛法律事務所代表弁護士 | スタートアップ向けの法務サービスを多数提供 | KIYACプロジェクト代表

KIYACとは

  1. いくつかの質問に答えるだけでシンプルな文書が自動生成されます。

  2. 多数の協力弁護士が、得意分野を生かして応用範囲の広い雛形を随時開発、アップロードしていきます。

  3. 入力画面、出力画面ともに、シンプルで誰にでもわかりやすいUIを追及。

  4. 生成された文書のリーガルチェックを弁護士に依頼することもできます。