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ネットショップにも領収書の発行義務があるの?!

EC
税理士 仲田芽衣

「経費で落としたいので領収書発行してくれませんか?」

EC・ネットショップを運営していると顧客から領収書の発行を求められることがあります。

しかし多くのネットショップはクレジットカード決済。

その場合でもわざわざ領収書を発行する義務があるのでしょうか?

税理士が解説します。

領収書とは?

まずはじめに、そもそも領収書とは何でしょうか?

領収書は、読んで字の如く、金銭を受け取った(領収した)ことを示す文書です。

そして、代金を支払った買主は、民法第486条に基づいて、売主に対し、領収書(民法では「受取証書」と表現されていますが、領収書のことです。)の交付を請求することができます。

そのため、代金を受け取った売主は、買主から請求された場合、原則として、領収書の発行義務を負います。

一番わかり易いのが、店頭で現金決済をしたケースです。

領収書の役割① 代金の支払いを証明する証拠

領収書の最も基本的な役割は、「代金の支払いを証明すること」です。

たとえば確定申告をするとき、「10万円の経費を支払った」と記載することは簡単ですが、後で税務署から調査がきた場合、その支払の事実を証明しなければなりません。その際に領収書があれば、容易に支払いの事実を証明することができるわけです。

裁判で、ある金銭の支払いが争いになったときにも、領収書があれば、支払いの事実を証明することが容易になります。

世の中では、主に確定申告のために、領収書の発行が求められています。

領収書の役割② 印紙税の徴収

領収書には、もうひとつ別の役割があります。

それは、国による「印紙税の徴収」です。

以下のとおり、5万円以上の売上を証明する領収書には、印紙税が課税されます。

  • 記載金額税額5万円未満のもの 非課税
  • 5万円以上100万円以下のもの 200円
  • 100万円を超え200万円以下のもの 400円
  • 200万円を超え300万円以下のもの 600円
  • 300万円を超え500万円以下のもの 1,000円
  • 500万円を超え1,000万円以下のもの 2,000円


「領収書ください」という顧客にとって、印紙税の徴収はあまり重要なことではありませんが、いざ領収書を発行するとなると5万円以上の売買の場合は収入印紙を添付する必要が生じますので、注意しましょう。

領収書の様式

領収書は、上記のとおり何らかの金銭を受け取ったことを示す書類ですが、それを超えて特定の様式が決められているわけではありません。

文具店などにいくと、よく「領収書」と書かれた束が販売されていますが、そのような特定のフォーマットを利用する必要はなく、白紙に「領収書」と手書きしても、立派な領収書になります。

また、レシートも、立派に「領収書」としての役割を果たし得るものです。特に購入した商品の明細など通常の領収書よりも細かく記載されているため信用力という点において領収書に勝る部分もあります。他方でレシートには通常押印がないことなどから、慣行上、領収書の発行を求める人が多くいました。

要するに、代金を受領した人がその旨を証明するために発行する書面であれば、立派に領収書としての役割を果たすことができる、ということです。

ネットショップには領収書の発行義務がある?

それでは本題の、ネットショップに領収書の発行義務があるかどうかですが、これは決済方法ごとにわけて考える必要があります。

カード決済

まずもっとも代表的なカード決済ですが、ショップ側に領収書の発行義務はありません


御存知のとおり、カード決済は、「信用取引」であり、決済を行った時点ではカード会社とショップの間で代金の決済があるだけであり、顧客からショップには1円も支払われていません。つまり代金の「領収」がないわけで、そもそもショップは「領収書」を発行することができません。

この場合、顧客にとっては、クレジットカードの利用明細が、領収書の代わりになります。実際に顧客がお金を支払うのは、ショップではなく、カード会社であり、利用明細はカード会社が発行するものだからです。

銀行振込

では銀行振込の場合はどうでしょうか?


この場合は、カード決済と異なり、顧客から領収書の発行を求められた場合は、対応する義務があるものと解されています。

銀行振込は直接ショップの銀行口座に金銭が振り込まれるため、ショップ側が金銭を「領収」しており、領収したショップがその旨を証明する義務を負うものと考えられるからです。

ただし、銀行振込をした場合には、金融機関から振込明細書が発行されます。そこには、振り込みをした日時、金額、相手方が明示されていますので、振込明細書をもって領収書に代替することができます。

代金引換

代引きの場合、領収書の発行義務はありません。

代金を実際に受け取るのは配送会社であり、ショップは顧客から代金を受け取っていないからです。

この場合は、配送業者が発行する領収書が、店舗が発行する領収書の代わりになります。

コンビニ決済

コンビニ決済の場合も、ショップが代金を受け取っていないため、ショップには領収書の発行義務はありません。

この場合は、店頭で発行されるレシートが領収書の代わりになります。

領収書の発行義務がない場合に発行を求められたら?

では、領収書の発行義務がない場合や、領収書に相当するもの(カードの支払明細等)がすでに発行されているにもかかわらず領収書の発行を求められた場合はどのように対応すれば良いでしょうか?


まずは、上記のとおり、カード決済でも、銀行振込でも、領収書に相当するものがちゃんと発行されていることを説明し、丁重にお断りできればそれがベストです。ある支払いを証明する文書が複数発生してしまうと、後で領収書が悪用される(経費の二重計上に利用される)おそれがあるため、ショップにとってはリスクのある行為です。

それでも発行を求められる場合は、決済方法を明示し、法的な意味での「領収書」ではないことをはっきりさせたうえで発行しましょう。

カード決済の場合であれば、但書に「但し◯年◯月◯日クレジットカードご利用分」、銀行振込であれば「但し◯年◯月◯日銀行振込分」などと記載しておけば、二重計上のリスクを相当低減することができます。

なお、利用規約や特定商取引法に基づく表示で、「領収書の発行はしない」と明言しておけば、これらの規約を盾に顧客を説得することができるので、有用です。なお、利用規約や特定商取引法に基づく表示の準備に自身がない方は、法律文書自動生成サービスKIYAC(キヤク)がおすすめです。いくつかの簡単な質問に答えるだけ、わずか数分でネットショップ用の利用規約などを作成することができます。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

領収書に関しては、世間でも誤解されていることが多い領域です。

顧客から領収書の発行を求められた場合には、慌てずに、発行義務の有無を確認した上で、丁寧に対応するようにしましょう。

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税理士 仲田芽衣
税理士事務所Beso 税理士/財務金融アドバイザー

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