KIYAC

商品が不良品と言われたときの対応方

EC
弁護士 千葉直愛

「2万円もする新品のスカートなのに裾の部分が破れている。不良品なので返品したい」

EC・ネットショップを運営していると、商品が不良品であるといわれ返品を希望されることがしばしばあります。

この記事ではそのような場合の対応方法を弁護士が解説します。

契約不適合責任と法定返品権との違いを理解する

別の記事で、ネットショップの顧客にはクーリングオフは認められないが法定返品権という権利があると説明しました。

法定返品権は、特約で排除されていない限り、商品の受領から8日以内であれば、一切理由を問わずに、顧客が送料を負担して、商品を返品できるという特別な権利です。

そして、ネットショップの顧客には、法定返品権とは別に、商品の返品と代金の変換を請求できる法律制度があります。

それが、契約不適合責任と呼ばれるものです。

契約不適合責任とは、読んで字のごとく、「届いた商品の品質が、契約内容と適合していない」ときに認められる責任です。法定返品権との最大の違いは、返品を希望する顧客側で、返品の理由(商品の品質が契約に適合していないこと)を説明しなければならない、ということです。


たとえば、冒頭で挙げた例のように、2万円の新品のスカートと書いて売っていたのに、裾が破れているというのは、「新品のスカート」という契約条件に適合していません。

顧客に認められる権利

契約不適合がある場合、顧客には、次の権利が発生します。

追完請求権

商品に契約不適合がある場合、顧客は、ショップに対して、商品の修補か、商品の交換を求めることができます。これを法律上、「追完請求権」と呼びます(民法562条)。

顧客が修補と交換、いずれかを指定してこなかった場合は、ショップの判断で修補か交換を選択することができます。

修補に過大な費用がかかるようでしたら、顧客が修補を請求しても、交換で対応すれば足ります。

代金減額請求権

商品の性質上、修補も交換もできないときは、不具合に見合った分、代金を減額して対応することになります。これを法律上、代金減額請求権といいます(民法563条)。

ポイントは、顧客の第一の権利は追完請求権であり、修補や交換ができるにも関わらずいきなり代金減額を請求することはできないということです。


顧客からいきなり「金返せ」と言われても、慌てず、まずは修補か交換で対応するようにしましょう。

特に、「減額」というのは簡単ですが、顧客が主張する不具合をどの程度の減額に結びつけるかは、主観的な評価の問題も入りこみ、議論が水掛け論担ってしまうおそれがあります。
安易に減額対応に応じないよう気をつけましょう。

解除

顧客は、不良品の売買契約を解除することができます。解除すると、商品を返品し、代わりに受領済みの代金を返金して、契約関係を精算することになります。

しかし、解除も、いきなりできるわけではなく、追完請求(修補、交換)をしたにも関わらずショップ側が応じなかった場合に、はじめて解除が許されます(民法541条)。

そのため、ショップとしては、顧客からいきなり顧客から解除や返金を求められた場合でも、まずは修補や交換で対応するようにしましょう。

どんな欠陥にも対応しないといけないの?

以上のとおり、商品が不良品だった場合は、顧客には追完請求権などの強力な権利が認められることになります。

では、どんなささいな不具合であっても、契約不適合責任が発生してしまうのでしょうか?

「スカートにほつれた糸が1本付着している!金返せ!」そんな要望にも応じなければならないのでしょうか?


答えは「NO」です。

法律の条文をみてみましょう。

(買主の追完請求権)
第五百六十二条 引き渡された目的物が種類、品質又は数量に関して契約の内容に適合しないものであるときは、買主は、売主に対し、目的物の修補、代替物の引渡し又は不足分の引渡しによる履行の追完を請求することができる。


以上のように商品が「種類、品質又は数量に関して契約の内容に適合していない」というのが要件です。

ほつれた糸が1本付着していたくらいでは、「品質・・・に関して契約の内容に適合していない」などと言えません。

ただし、契約不適合と呼んでよいのか、そうではないのか、あいまいなケースや、ショップ側では判断がつきにくいケースも出てくると思います。

このような場合、ひとつの経営判断として顧客の要望に応じるということも考えられますが、顧客の主張が不当と思われるものについては、弁護士費用などの一定の対応コストをかけてでも、毅然とした対応を取ることが必要なケースもあるでしょう。

大昔のお客さんからの返品要求にも対応しないといけないの?

たとえば、2年前にスカートを買った顧客から、不良品なので返品したいという主張を受けた場合は、契約不適合責任に基づいて対応する必要が生じるでしょうか?

答えは「NO」です。

契約不適合責任は、顧客が契約不適合を知った日から1年以内にその旨をショップに通知しなければ、行使することができません(民法566条)。

「知った日」とは、特殊な事例によっては異なることもありますが、ショップ側としては商品が顧客の手元に配送された日と考えておけば大丈夫です。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

不良品に関しては、顧客に追完請求権などの特別な権利が発生しますので、まずは本当に不良品なのか、顧客から商品の写真を提供してもらうなどして、本当にショップとして対応が必要なものかどうか見極めるようにしてください。

そして、対応が必要であると判断した場合は、いきなり代金減額の話をするのではなく、修補や交換で対応できないか、検討するようにしましょう。

ABOUT ME

弁護士 千葉直愛
千葉直愛法律事務所代表弁護士 | スタートアップ向けの法務サービスを多数提供 | KIYACプロジェクト代表

KIYACとは

  1. いくつかの質問に答えるだけでシンプルな文書が自動生成されます。

  2. 多数の協力弁護士が、得意分野を生かして応用範囲の広い雛形を随時開発、アップロードしていきます。

  3. 入力画面、出力画面ともに、シンプルで誰にでもわかりやすいUIを追及。

  4. 生成された文書のリーガルチェックを弁護士に依頼することもできます。