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「他社製品より◯%高性能!」と広告するときの注意点

EC
弁護士 千葉直愛

「当社の新商品は他社製品より◯%高性能!」

「通常版に比べて◯%増量!」

EC・ネットショップで商品を販売する際、他社製品と自社製品の比較、旧商品と新商品を比較するなどしてお買い得感を出す、「比較広告」が行われることがあります。

このような広告は無制限に許されるのでしょうか?

弁護士が解説します。

比較広告は禁止されているの?

はじめに、比較広告は、禁止はされていません。

自社製品同士の比較であっても、自社製品と他社製品の比較であっても、同様です。

しかし、「著しく優良又は有利である」と一般消費者に「誤認」させるような広告は、禁止されています(景品表示法第5条)。

ただ、これだけでは抽象的過ぎて、何がどこまで許されているのか(禁止されているのか)わかりません。

そこで比較広告が「著しく優良又は有利である」と一般消費者に「誤認」させるかどうかについて、消費者庁からガイドラインが出ています(比較広告に関する景品表示法の考え方)。

ガイドラインでは、比較広告が許されるための条件として、3つのポイントが挙げられています。

(1)比較広告で主張する内容が客観的に実証されていること。
(2)実証されている数値や事実を正確かつ適正に引用すること。
(3)比較の方法が公正であること。

以下では一つづつ解説していきます。

比較して有利と主張するにはどの程度の根拠が必要?

よく比較広告で、「30%増量!」などと大きな文字で記載されている横に、小さなアスタリスク(*)がついていて、広告の下の方を見ると小さな文字でその根拠が記載されている、というものを目にしたことがあると思います。

比較して有利と主張するためには、どの程度の根拠が必要になるのでしょうか?

まず、実証の方法が確立されている場合は、確立された方法に従うべきとされています。ガイドラインでは、自動車の燃費効率の事例が挙げられています(10モード法という確立した測定方法が存在します。)。

そのような確立された実証方法がない場合は、無作為抽出法で相当数のサンプルを選ぶ調査方法も認められます(「無作為抽出モニター◯名のうち◯名が増量を実感したと回答!」等)。

また、公的機関が公表している統計データなどを使って定量的な数字を広告することも認められています(「〇〇庁の調査によると〇%の人が〇〇と回答」等)

比較の根拠はどこまで記載するべき?

次に「実証されている数値や事実を正確かつ適正に引用すること」です。

たとえば外部機関に試験を委託し、その鑑定結果を取得した場合、広告にはその鑑定結果のすべてを掲載する必要があるのでしょうか?

答えは「NO」です。

一般消費者が、その広告を読んで、調査結果や調査方法について「誤認」(誤解)するようなおそれがなければ、鑑定結果の一部を省略しても大丈夫です。

その判断はケースバイケースになってきますが、参考として、ガイドラインでは、次のような事例が挙げられています。

・・・例えば、温暖地用のエンジン オイルの性能に関する比較広告において、温暖地での比較実験の結果のみを根拠に、自社製品が国内のすベての地域において優秀であると主張するような場合・・・、主張する事実(この例では、国内のすべての地域における自社製品の優秀性)についてまでは 実証がないこととなるので、不当表示となるおそれがある。


このケースでは、「温暖湿地における」と明示することで、消費者の「誤認」(誤解)を防ぐことができます。

また、調査方法について一般消費者に誤解を招くような事例として、ガイドラインでは次のようなケースが挙げられています。

例えば、「調査結果によれば、100人中60人がA商品よりB商品の方が使い心地が よいと言った。」という広告において、調査機関、調査時点、調査場所等についてはあえて表示せず、むしろ「近時における権威ある調査によれば」等とあたかも第三者機関が最近行った調査であるかのような文言を用いているが、実際には、自社で行った調査であっ たり、相当以前に行った調査であったような場合には、不当表示となるおそれがある。


この事例では、「当社の調査結果によれば」と明示することで、消費者の「誤認」(誤解)を防ぐことができます。

比較の対象は何でも許される?

最後が「比較の方法が公正であること」です。

ガイドラインでは次のような事例が不適切なものとして挙げられています。

例えば、自社のデラックス・タイプの自動車の内装の豪華さについて比較広告する場合において、他社製品のスタンダード・タイプのものの内装と比較し、特にグレイドが異なることについて触れず、あたかも同一グレイドのもの同士の比較であるかのように表示することは、不当表示となるおそれがある。


同じグレード同士を比較しなければ、消費者が「誤認」(誤解)する、ということです。化粧品などでも、価格帯によって当然性能が格段に変わりますので、恣意的な比較対象を抽出しないよう注意しましょう。

また、製造中止されている商品と現在製造中の商品を比較することも、不適切な事例として挙げられています。

例えば、自社の新製品と他社の既に製造が中止されている旧型製品を比較し、特に旧型 製品との比較であることについて触れず、あたかも新製品同士の比較であるかのように 表示することは、不当表示となるおそれがある。


このように、比較の「対象」を選ぶときは、「現時点で」競争関係、競合関係にある商品を選ぶようにしましょう。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

どこからが「著しく優良又は有利である」と一般消費者に「誤認」させるものであるかは、程度問題であり、ガイドラインの存在を前提としても、最終的には判断者(裁判所)の評価が関わってくる問題ですので、一律に言えない部分もあります。

が、ビジネス判断としては、「自分が通常の消費者だとしたら、その広告を見て誤解しないか」という一歩引いた視点から、広告の内容を検証することが安全であり、おすすめです。

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弁護士 千葉直愛
千葉直愛法律事務所代表弁護士 | スタートアップ向けの法務サービスを多数提供 | KIYACプロジェクト代表

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