KIYAC

誤表示価格で大量注文が発生。どうしたらいい?!

EC
弁護士 千葉直愛

EC・ネットショップの運営上、頻繁に発生するうえに、深刻な問題が「10,000円の商品を1,000円と表示してしまった」といった、価格の誤表示です。

中小零細のショップでは勿論のこと、大手企業でも実は頻繁に価格の誤表示事故を起こしています。

たとえば、直近では、プラダのサイトで財布913円、スニーカー1045円などの誤表示価格での販売が発覚するなどの事故がありました。


では、価格表示を間違えてしまった場合、ネットショップはその価格で商品を販売しなければならないのでしょうか?!

弁護士が解説します。

誤表示価格に関する法律のルール

誤表示価格の契約は取り消せる?!

誤表示価格に関しては、民法という法律の「錯誤」というルールが適用されます(民法95条1項1号)。

民法
(錯誤)
第九十五条 意思表示は、次に掲げる錯誤に基づくものであって、その錯誤が法律行為の目的及び取引上の社会通念に照らして重要なものであるときは、取り消すことができる。
一 意思表示に対応する意思を欠く錯誤


10,000円の商品を1,000円と表示してしまった場合を例にして説明しましょう。


「意思表示」というのは1,000円の誤表示のことです。

「対応する意思」というのは、ショップ側が1,000円で販売する意思のことですが、ここでは本当は10,000円で販売するつもりだったので、対応する意思がありません。

これを「錯誤」(さくご)といいます。

そして、このような錯誤は通常の感覚からして「重要なもの」ですので、その契約(法律行為)は「取り消すことができる」のです。

でもショップに過失があったら取り消せない?!

ところが、民法の条文はここで終わりません。
同じ95条の第3項には次のように書かれています。

3 錯誤が表意者の重大な過失によるものであった場合には、次に掲げる場合を除き、第一項の規定による意思表示の取消しをすることができない。


ネットショップ(表意者)に「重大な過失」があった場合注文のキャンセルはできない、ということです。


そして、法律実務上、10,000円のものを1,000円と表示してしまったような明らかな価格の誤表示は、ネットショップ側の「重大な過失」があると解釈される可能性が高いです。

でもやっぱり取り消せる?!


キャンセルできないのか、、、と思いきや、さらに条文を読んでいくと、次のように書かれています。

3 錯誤が表意者の重大な過失によるものであった場合には、次に掲げる場合を除き、第一項の規定による意思表示の取消しをすることができない。
一 相手方が表意者に錯誤があることを知り、又は重大な過失によって知らなかったとき。


常識的に10,000円程度の価格の商品が1,000円で売られていたら、顧客側も「これはおかしい」とわかるはずです。冒頭にあげたプラダの例などはそうですね。

この場合は、顧客(相手方)がネットショップ(表意者)に錯誤があることを知っていた、または顧客にも重大な過失があった、といえるので、やはりネットショップ側は取り消しをすることができる、ということになります。

民法のルールに従った対応?

以上が民法のルールに従った説明となりますが、読んでいただいてわかるとおり、かなり複雑です。

そのため、実際に誤表示価格で大量注文が発生してしまった場合、
「えーと、民法には錯誤というルールがありまして、お客様にも重大な過失がありますので当店は取り消しができます・・・」


などという説明をすることは現実的ではありませんし、なによりも顧客側が法律のルールを理解できない可能性が高いため、トラブルの対策として法律を振りかざすことは得策ではありません。

トラブルを防止するために利用規約を整備しよう

そこでおすすめなのが、誤表示価格による発注が起きたときにショップ側を防衛できる利用規約を整備しておくことです。


具体的には、顧客からの注文があったときに売買契約が成立するのではなく、ショップ側から商品の発送通知をした時点など、注文よりも後の時点で売買契約が成立する、と書いておくのです。

そうすれば、万が一誤表示価格のトラブルがあった場合でも、「この度は当ショップの不手際により価格表示が誤っていました。深くお詫び申し上げます。

なお、利用規約◯条により、売買契約は成立していませんので、商品をご希望のお客様は改めて注文手続きをお願いいたします。」
と、シンプルな説明をすることが可能になり、トラブルを防止することができます。

なお、利用規約の作り方がよくわからない方は、法律文書自動生成ジェネレーターKIYAC(キヤク)を使えば、いくつかの簡単な質問に答えるだけで、わずか数分でネットショップ用の利用規約を作ることができます。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

特に大量の商品を取り扱うネットショップでは、いくら注意していても、一定の確率で誤表示が発生してしまうことは避けては通れません。

そのような事故が起きた場合であっても、利用規約を整備していれば事前にリスクを回避することができます。
是非、利用規約を整備して、安心安全なネットショップ運営に役立ててください。

ABOUT ME

弁護士 千葉直愛
千葉直愛法律事務所代表弁護士 | スタートアップ向けの法務サービスを多数提供 | KIYACプロジェクト代表

KIYACとは

  1. いくつかの質問に答えるだけでシンプルな文書が自動生成されます。

  2. 多数の協力弁護士が、得意分野を生かして応用範囲の広い雛形を随時開発、アップロードしていきます。

  3. 入力画面、出力画面ともに、シンプルで誰にでもわかりやすいUIを追及。

  4. 生成された文書のリーガルチェックを弁護士に依頼することもできます。